光造形のクリア材の透明度を上げるには

光造形で出力した造形物はプリンターから取り出した状態や洗浄等の後処理をしている間は透明な状態です。しかし、後処理後に乾燥し、造形物として完成する時には、透明ではなくなってしまいます。
皆さん、このような経験はありませんか?

ここでは不透明になってしまう原因と対処法についてご紹介します。

後処理中と後処理後

Q. なぜ後処理をすると造形物は不透明になってしまうのでしょうか?

A. 光が拡散反射してしまうため造形物が不透明に見えてしまっています。

なぜ光の拡散反射が生じるのでしょうか?

3Dデータと実際の造形物(イメージ)

一見滑らかにに見える造形物でも、実際は表面に積層段差やピクセル痕等があります。
3Dプリンターは数μ単位で均一に積層されているため、実際は表面に指では認識できないほど細かい凹凸があります。

後処理中は、未硬化のレジンや後処理用の溶液等が表面を覆い均一な表面になります。このように表面が均一になることによって、拡散反射が小さくなり、造形物を透過する光が多くなることで透明に見えています。

透明に見える

後処理後のマット状になった造形物の表面に光が当たると、光は様々な方向に反射してしまいます。このような特性を拡散反射といいます。
拡散反射によって、造形物を透過する光が少なくなり、不透明に見えてしまいます。

拡散反射:不透明に見える
※材料の色によって反射特性が変わる場合があります。

透明度を上げる対策

拡散反射を無くし透明に見えるようにするため、「クリアラッカー」を使用します。
コーティングすることにより、表面が滑らかになり拡散反射を防ぎます。
また、それだけでなくUVから造形物を守る効果もあります。

クリアラッカー塗布前と塗布後

クリアラッカーだけでも綺麗な透明になりますが、透明度をもっと上げるためには手加工を加えることでさらに綺麗な透明になります。

処理前→ヤスリ掛け→コンパウンド→クリアラッカー

透明度を上げることによる効果

透明度を上げることによって、内部構造もより鮮明に確認することができます。
内部の構造や流路などの動きを確認されたい際にはお試しください。

後処理後
処理前|クリアラッカーのみ|研磨+コンパウンド+クリアラッカー

平板形状の結果

平板形状であれば、研磨、クリアラッカー等の処理をおこなわなくても、透明度に大きな差異はありません。

後処理後
処理前|クリアラッカーのみ|研磨+コンパウンド+クリアラッカー

使用ツール

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