GeomagicCapture/FreeForm / 消費材
生活者に密着した「愛」のある商品開発に
3D技術を活用
消費者のダイレクトな声を取り入れた日用品を企画開発・製造・販売をされているトップ産業様。 GeomagicCapture/FreeFormの導入検討時から現在に至るまでの道のりと、様々な活用事例をご紹介します。
トップ産業株式会社様
生活者の声を形にしてお届けします
トップ産業は、設立当初和装小物の製造販売を行っていましたが、現在は生活雑貨を中心に大手メーカーと共同で商品開発を行い、オリジナル製品を主に生活協同組合を通じて販売しています。
メーカーから提供された製品を元に、消費者にとって便利で使いやすく、デザイン性に優れたオリジナリティあふれる商品にするために、1981年から主婦モニター制度を開始しました。各年代の主婦の方々の率直な意見を生かして商品開発を行うこの制度は30年以上続いており、トップ産業のモノづくりにおける大きな要となっています。
近年ではモニター会議等の企画から設計までは国内で、製造は直接交渉をして中国でという体制で自社ブランド商品の開発に挑戦しています。
トップ産業 総務部の佐々木氏と商品開発の業務行う株式会社トップラボのチームリーダー松本氏、技術担当の岡崎氏を取材しました。
3Dツール導入までの道のり
メーカーから提供される製品を商品化する為に、モニターの方の意見を取り入れながら改良を重ね何度も試作を繰り返して、ようやく1つの商品が完成します。
3Dスキャナー(GeomagicCapture)とFreeFormを導入する前、試作品作成は外注していたり、手作業での工作でした。
「工作の場合は素早く手作業で作ることはできるが、外注の場合は時間がかかり不便さを感じていた」と松本氏。
またメーカーより提供された製品が本当に活用できるのか正しい構造なのかを瞬時に判断することが難しく、ある程度試作を繰り返してようやく製品化の可否がわかることもしばしばありました。
2014年秋ごろ、3Dプリンターという新しい機械が市場に出回って来たとお付き合いのある企業から紹介されました。
モノづくりを行う業種柄、非常に興味を持ちました。
JBCCホールディング主催のITフォーラムやその他展示会で3Dプリンターの実機を見たりしながら情報収集を始め、自社で3Dプリンターを活用できないかと導入の検討を開始します。
しかし、調べるうちに3Dプリンターには3Dデータ(STL)が必要なことが判明。
当時は、3DCADを使用しておらず、専任技術者もいない状態で、3Dプリンター導入の難しさを痛感していました。
「技術者でなくても3Dデータをつくることはできないか・・・」そんな時にJBCCの営業マンが3Dデータ作成を目的としたモノづくりセミナーをご案内。これがFreeForm導入のきっかけとなりました。
トップ産業様が3Dツールを導入する為には、3つの要件がありました。
【導入要件】
- だれでも(技術者でなくても)3Dデータを作成することができる
- 自由な形状のデザインに適している
- 3DCADのようなきっちりとした数値までは必要なし
「金型を作るとまでは考えていない。デザイン部分での活用を検討しているのです。」と佐々木氏。粘土で形を作ると同じような感覚で自由なモデリングができるFreeFormはこの3要件と一致しました。
その後、イグアス3Dショールームで代表取締役社長松岡氏もFreeFormを体験し、「これならだれでもできる」という率直な感想を持たれ、すぐに導入が決定しました。
3Dスキャナーは相性の良い機種をとの希望で、デモンストレーションで使用した3Dシステムズ社製のGeomagicCaptureを選定しました。
「誰でもできる」と感じた理由
「FreeFormには初心者でも使いやすい点がいくつかある」と岡崎氏。
GeomagicCaptureとFreeFormを使ってデータの作成業務の専任担当者です。
【使いやすい点】
- 図形や数字を入力する必要がないこと
- 削る・付け足すといった細かい修正が簡単にできること
3DCADでは図形の設計をする上で数値の入力が必須ですが、FreeFormの場合は自由な局面からデータを作ることができます。
さらに、粘土で造形する様な感覚で不要な部分を削りその部分を平らにする作業も容易です。
導入当時は初心者だった岡崎氏も、専任となりFreeFormと向き合っていくうちに、
スキャンデータのモデリングのみならず、2次元のスケッチから3Dデータを作成する程の技術を約半年程で取得。
現在では、生協様のキャラクターを3Dデータ化し、3Dプリンターを使ってマスコットを作成したり、販売促進などの用途でも活用しています。
GeomagicCaptureとFreeFormの活用の活性化により、データ作成から試作品作成までの工程を自社で行うことが実現し、外注と比較しても非常に素早く試作品を手にすることが可能となりました。
モニター会議でも、実際の商品とより近い形で手に取りながら機能やデザインを確認できることで、会議もスムーズに進み、商品開発のスピードが向上。
他にも製品をメーカーから提供された時点で商品化の可否を伝えることができるようになったことや、以前は断っていた製品でも構造を確認できることで改善案を提示することが可能となり、商品開発の幅も広がりました。
【導入効果】
- 商品開発スピードの向上
- 商品の多様化
- モニターの意見を忠実に再現
現在は岡崎氏が専任として活用。約60個程の製品デザインに活用されています。
様々な活動より得たアイデアと初の試み
導入からおよそ半年経ち、活用の幅はさらに広がりを見せています。
- 産学連携プロジェクト(関西大学社会学部池内裕美ゼミ様とのモノづくり企画)
- 社内コンテスト
産学連携プロジェクトでは、モノづくりのプロジェクトとして関西大学社会学部 池内裕美ゼミ様とタイアップしました。
学生のみなさんと共同で商品開発を行い販売を目指すプロジェクトで、企画からデザイン・設計・試作・提案までを共同で実施。
最終プレゼンテーションでは学生がメーカー相手にプレゼンテーションをします。
このプロジェクトでは、学生より提供されたアイデアをFreeFormでデータ化し、3Dプリンターで試作品を造形しました。
デザインが形となり手にとることで、相手により印象づけることができ、プレゼンテーションでも効果を発揮しました。
社内コンテストは、社員自身が企画デザインを行うコンテストです。
今年より社員のアイデアを「FreeFormでデータ化し、3Dプリンターで試作品を造形する」という工程が導入されました。
3D技術の活用でコンテストを盛り上げています。
永く愛されるアイデア満載商品「愛着良品」
愛着良品とは、
- 永く愛されるための物語があること「愛情」
- 暮らしを変えるアイデアがあること「着想」
- 生活者の声と作り手の想いが込められていること「良心」
- 誠実で信頼性の高いモノづくりを約束すること「品質」
の4つの要素が込められた製品です。
「愛着良品」として認定されるためには、9ヶ条の認定基準をクリアしてようやく認定されます。その厳しい基準をクリアした商品のひとつに、「関孫六包丁 三徳の友」という包丁があります。この包丁の原型はお肉屋さんが使っている業務用の包丁です。業務用の包丁はサイズも大きく使うのが大変。しかし包丁本来の「切る」に関しては抜群の機能を発揮します。主婦としては使ってみたくなります。
そんな主婦の要望を実現させたのがこの包丁です。たくさんの女性モニターの意見を取り入れ、刃渡りや幅・厚みを徹底的に検証し、
女性でも使いやすいサイズでどんなお料理でも使える機能性に優れた包丁が生まれました。
「愛着良品」の中でも長く愛されているロングセラー商品です。
取材を終えて・・・
トップ産業株式会社様は常に使い手の立場に立ち、率直な意見を取り入れながら、作り手と使い手の愛情と情熱を大切に商品を作られています。だからこそ、便利で使いやすく、使いたくなるデザインの商品が私たち消費者にダイレクトに届くのではないでしょうか。
取材に伺った際、代表取締役社長の松岡氏をはじめ、総務部の佐々木氏・株式会社トップラボの松本氏・岡崎氏、社員の皆様全員に温かく迎えて頂きました。
人に対する愛情はモノづくりに対する愛情とその商品に繋がっていると実感しました。これからも使いたくなる愛情のこもった商品を世の中にデビューさせてくれることを期待しています。
【企業DATA】
トップ産業株式会社
設立:1970年
資本金:8800万円
本社:大阪府吹田市豊津町12-43 トップ産業ビル
URL:http://www.top-sangyo.com/
【販売代理店】
JBCC株式会社
本社:東京都大田区蒲田5-37-1 ニッセイアロマスクエア 15階
URL:http://www.jbcc.co.jp/