CASE STUDY

ProJet® 3500HDMax / 文教

部品も自ら設計、何度も作り直しのできる実験模型

九州大学 応用力学研究所は、新エネルギー力学部門、地球環境力学部門、核融合力学部門と3つのセンターを擁する附置研究所であると同時に全国共同利用研究所として、他大学、研究機関、団体のみならず一般企業とも共同での研究を実施しています。

文教

九州大学 応用力学研究所

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大型実験装置を備えた地球環境とエネルギーに関する国内屈指の
研究拠点

九州大学 応用力学研究所 新エネルギー力学部門では風車や潮流発電装置等、再生可能エネルギーを扱っています。

構内には、長さ65m水深7mという大学としてはかなり大き目のサイズの深海機器力学実験水槽をはじめとして各種の研究施設や実験施設があり、模型等を利用した様々な実験が行われています。

研究現場での3Dプリンターはどのように活用されているでしょうか。
新エネルギー力学部門 海洋環境エネルギー工学分野の助教 末吉誠先生にお話をうかがいました。

 

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実験用模型の作成

応用力学研究所は附置研究所であり、研究主体なので、とにかく実験が多いです。

実験は実物を縮小したサイズの模型を作成して行います。
最終的な実物では、海に浮かべたり沈めたり、サイズは数10メートルから数100メートルクラスになりますので、実験をする際には数十分の1に縮小した模型を使います。どのように実験を行うかという検討にも模型は使います。

この模型で使用する複雑な樹脂パーツの作成は、もともと外部の業者に依頼していました。設計図を業者に渡して作ってもらいます。削り出しや接着、粉末レーザー焼結(SLS)など、いろいろな加工方法や材料でパーツを作っていました。
ただし、外注した場合は納期や金額もそれなりにかかり、現場で改良案をパッと思いついてすぐ作って、ということはできません。

研究室によってはFDM(熱溶解積層法)の3Dプリンターを使ったりもしていたようですが、強度の問題や積層の隙間のせいで強い遠心力などがかかる実験では使いにくいこともあります。

3Dプリンターの導入を考えたのはそのような背景があったからです。また、最新のラピットプロトタイピングを学生に見てもらいたいという教育的な目的もありました。

 

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3Dプリンターを導入してみて - その利点

研究、実験に利用しているので、何度も作り直してトライすることが重要、3Dプリンターはそういう使い方に非常に向いています。
学生の実験では外注だと数百万円もかかる模型はなかなか作れません。それも3Dプリンターを利用すれば自分たちで作ることができます。
削り出しでは作れない形状を作ったり、クリアランスを考えて設計したものを一体造形できるのも3Dプリンターだからこそできることです。

ProJet 3500HDMaxの優れているところ

導入した当初ちょっと荒めのデータで造形をしたらポリゴンの線がくっきりと出てしまいその再現性の高さにびっくりしました。
水中での実験が多いのですが、VisiJet M3 Crystalで作ったパーツは水につけても何の問題もありません。複数のパーツからなる模型も金属のピンとボルトそして接着剤を併用して組み合わせれば完全な水密を実現できます。
剛性を落とさないで軽量化を実現するための肉抜きをしたデータも3Dプリンターの得意な分野ですが、サポートを除去しやすいので鋳物では不可能なものもできます。

実際に研究している装置は海上や海中に設置しますので非常に大きく、金属板を溶接した構造体に駆動装置などが入っています。しかし実験は水槽で行いますのでそのサイズに合わせた縮小模型を作ります。このサイズで実物と同様に動く機構を作る必要がありますが、ちょうど良いサイズの部品は必ずしも市販されていません。そのため必要に応じてメカニカルな部分であるベアリングやギアもオリジナルのものを全部3Dプリンターで作ることがあります。以前はベテラン技術職員が削り出しなどで作った金属部品を組み合わせていました。と言っても全部は削り出しで作ることもできません。今は3Dプリンターが大活躍です。

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広がる活用場面 - とにかく作ってみる

研究者と技術職員ばかりですので3D-CADを扱える人も多く、設計をしてはどんどん使っています。
模型を作るのに必要な部品が市販されているものではサイズがあわないこともあり、そんな時は自分たちで設計して作ってしまいます。
実験模型以外でも、実験に必要なちょっとした道具は設計して作ってしまいます。例えば水中の実験の様子を撮影するカメラを保護するハウジング。カメラにあった形のものを設計して作りました。フルサイズでは作れないのでいくつか分割して造形して組み合わせていますが、ほぼ設計どおりに出来上がるので内部に複雑な隔壁構造などを持っていても水密化が可能です。

企業との共同研究では、実験に使ったものより更に小さなモデルを作って記念品として渡したこともあります。

大学の設備として導入しましたので、研究所内の他の研究室の人たちも使ってます。
結構大きいものを作っていることが多いので、稼働率はもの凄く高いですね。
学生、技術職員、教員それぞれが直接操作して利用しています。それでも今のところは職員みんなが使いこなしているわけではありません。

全国共同利用の研究所ですので他の国立大学の共同研究者からの依頼も請け負ったりしています。複雑な形でも造形できてサポート材もきれいに除去できるので頼まれた先生方からも好評です。

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3Dプリンターへの希望

やはり材料の価格ですね。なにしろ非常にたくさん使用していますので。

また材料としてプラスチックにはどうしても強度・耐熱性などに限界があります。
実験を行う所内の他の研究室でも作ってみたい部品は山ほどあるようですが、まだプラスチックでは無理なことも多いですね。
強度のあるいろいろな材料があって簡単に交換できるといいな、と思います。

粉末レーザー焼結や金属3Dプリンターはかなり高額ですし、扱うのに専任のオペレーターが必要になります。
将来的にはそういう3Dプリンターがもっと手軽に扱えるようになるといいですね。(談)

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【企業DATA】

九州大学 応用力学研究所
設立:1951年
筑紫キャンパス:福岡県春日市春日公園6丁目1番地
URL:https://www.riam.kyushu-u.ac.jp

【販売代理店】

株式会社ソルネット
本社:福岡県北九州市八幡東区中央2-8-13
URL:http://www.solnet-dot.com

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